南極観測船「しらせ」が昭和基地に到着してから、まもなく1カ月です。現地では、水深数百メートルに生息している巨大な魚の生態調査など様々な研究が行われています。
澄み切ったコバルトブルーの空と延々と広がる真っ白な雪原。ここは昭和基地から約100キロ離れた場所。そこで行われていたのは雪の採取のためシャベルを使って穴を掘る隊員たち。
観測隊員:「機械じゃないです、人力です」
氷にドリルを突き刺し、地下20メートルの氷を採取。江戸時代のころの気温や大気の状態が分かるといいます。しかし、浅い部分にある最近積もった雪は人の手で丁寧に採取しなければならないのです。隊員たちが代わる代わる掘り続けて作業開始から約6時間、目標としていた3メートルに達しました。
観測隊員:「この南極にどうやって物質が運ばれるか、気候変動・過去の気温の変化などが分かるようになると期待してます」
南極の温暖化が進むと氷の融解、海面上昇へつながり、世界的な気候変動の引き金になるとも。過去の大気を知ることで現在の南極の状況を解析できるのです。
「沈まぬ太陽」。この時期は一日中、太陽が沈まない白夜が続きます。
魚類の生態を調査している、通称「お魚チーム」。分厚い氷にドリルで穴を開け、氷の下に生息する魚を釣り上げます。大きなサイズの魚には発信器を埋め込んだ後、再び海に放し、その行動を調べます。まずは魚を黄色い容器に入れます。中に入っているのは魚専用の麻酔です。1匹にかかる時間は3分ほど。氷の上での手術は時間との勝負です。
第64次南極地域観測隊・黒田充樹さん:「手のかじかみとの闘い」
こうして魚などに取り付けられた発信器からは様々な情報が受信機に送られてくるといいます。
第64次南極地域観測隊・市川光太郎さん:「例えばどこかで氷が割れたとしたら、割れた位置を調べることができる。その音を録音できれば」
そんな「お魚チーム」が狙っている魚が「ライギョダマシ」。水深数百メートルに住み、最大2メートル近くにまでなる巨大魚です。大物を元気な状態で釣ることができれば、大きく高性能な発信器が付けられるわけです。餌(えさ)に使うのは立派なイカ。
水深450メートルまで糸を垂らし、ライギョダマシ釣りにチャレンジ。果たして結果は…。
第64次南極地域観測隊・河合賢太郎さん:「これ、足の先かじられてる」
イカに何かが食い付いた痕跡が。そして…。
第64次南極地域観測隊:「餌がない。何かがいたんでしょう」
お魚チームの挑戦は続きます。
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